紙おむつ・軽失禁について
ここでは「紙おむつ」の使い方や処理方法等の知識から、安全・環境への取り組みまでQ&A形式でご紹介致します。
Q. 透湿性(通気性)シートとはどのようなしくみですか。
透湿性(通気性)シートとは、尿などの水分は漏れないように紙おむつの外に出さず、紙おむつの中の湿気だけを外に逃がして、通気性を良くする工夫をした素材です。シート全面に肉眼では見えないミクロの穴が開いていて、湿気などの「気体」は通しますが、尿のような「液体」は通さない大きさになっています。
これにより紙おむつ使用時のムレや、湿気からくる肌荒れを防ぐようにして快適性を向上させています。
Q. 不織布とはどのようなものですか。
不織布(nonwoven fabric)は、織らない布という意味ですが、洋服芯地などに用いられる厚いフェルト状のものから、紙おむつなどの衛生用品に用いられる比較的薄い紙状のものまで多くの種類があり、さまざまな分野で広く使われています。
紙おむつの表面材(皮膚にあたる部分)に用いられている不織布は、レーヨン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの繊維が用いられ、繊維を織らずに並べて絡み合わせ、それらを結合させてつくります。
繊維を並べる方法としては、あらかじめ切断した繊維を、水中で分散させたものをすき上げる湿式法や、水を用いない乾式法、そして、繊維を切断せずに紡糸工程から直ちに布にしてゆくスパンボンド法などがあります。
紙おむつに用いられる不織布は、乾式法とスパンボンド法が主流です。並べられた繊維を結合する方法には、古くは接着剤を使うバインダータイプが用いられていましたが、現在では、熱融着させるなど接着剤を使わないノーバインダータイプが用いられています。表面がさらさらした感じがするのは、通常の紙や布と比較して、繊維自体の吸水性が少なくまた、尿などを速やかに下の吸水材に導き、後戻りさせない性質を持っているからです。
Q. 高分子吸水材とはどのようなものですか。
高分子吸水材は、高吸水性樹脂(Super Absorbent Polymer、略してSAP) と呼ばれ、1974年(昭和49年)に米国で開発されました。現在、日本で紙おむつに使用されている高分子吸水材はほんどがポリアクリル酸塩で、白色~淡黄色の無臭の粉末です(一社)日本衛生材料工業連合会に加盟しているメーカーの製品には、使用の有無を表示してあります) 。
高分子吸水材の最大の特長は吸水性と保水性です。脱脂綿やティシュー、パルプ等の吸水量が、自重の10~20倍程度なのに対して、高分子吸水材の場合は、純水で自重の200~1000倍、尿の場合でも30~70倍と、極めて高い吸水能力を持っています。また、高分子吸水材は、一度吸水した水分は、外から多少の圧力がかかってもほとんど放出しないなど、高い保水力も併せ持っています。
高分子吸水材の使用によって紙おむつの吸水保水性能が飛躍的に向上し、尿もれ・尿の肌への逆戻り等も大幅に改善されました。その結果、1日の使用枚数が少なくなったうえに、1枚あたりの紙・パルプの使用量も減って薄く軽くなり、紙おむつの軽量化、コンパクト化が実現しました。
Q. 古い紙おむつがあります。使えますか。使用期限はありますか。
紙おむつは、使用している材料の化学変化が小さいため、開封して日数が経過しても問題なく使用できますので、特に使用期限は設定していません。ただし、ほこり・湿気・直射日光にさらされますと、吸収体中の高分子吸水材の吸収性能が損なわれたり、変色、使用後の処理用テープの粘着力の低下等、若干性能が低下する恐れがあります。
未開封であれば購入して3年位は大丈夫だと思われます。
保管する際には開封前・開封後にかかわらず、ほこりや湿気が少なく、直射日光が当たらない場所に保管してください。また、保管場所の近くに強い臭いのするものがあると、紙おむつに臭いが移ってしまうこともありますので注意してください。
紙おむつは、開封してからは出来るだけ早めに使いきるようにしてください。開封後、長期間経過したものを使うときには、ほこりや虫の有無を確認してください。