紙おむつ・軽失禁について
ここでは「紙おむつ」の使い方や処理方法等の知識から、安全・環境への取り組みまでQ&A形式でご紹介致します。
Q. 紙おむつに使用されている高分子吸水材は安全なのでしょうか。
紙おむつや生理用ナプキン等に使用されている高分子吸水材は、吸水性樹脂工業会によって以下の試験により安全性が確認されています。
急性毒性試験
高分子吸水材を誤って飲み下した場合の急性毒性に対する安全性評価法
皮膚刺激性試験
直接皮膚に付着した場合の刺激性に対する安全性評価法
接触感作性試験
直接皮膚に付着した場合のアレルギーに対する安全性評価法
膣粘膜刺激性試験
直接局部粘膜に接触した場合の膣粘膜刺激性に対する安全性評価法
Q. 紙おむつをかじって口のまわりにゼリー状のものがついています。大丈夫ですか。
ゼリー状のものは高分子吸水材です。誤って食べてしまった場合の高分子吸水材の安全性については急性毒性試験により〈事実上無害のレベル〉であることが確認されています。
使用前の水分を吸収していない高分子吸水材は粉末で、吸収体であるパルプに混入されています。これを食べてしまった場合、少量なら問題はありません。大量の場合はのどに詰まる危険性があります。口の中にあるものはかき出してください。飲み込んでしまった場合は水分を多めに飲ませて、すみやかに医師にご相談ください。
使用済みの紙おむつの高分子吸水材は、尿などを吸収して膨らみゼリー状になっています。この状態で食道や胃に入っても、体内で水分を吸収することはありません。排泄によって体外に出ますので心配ありません。
ただし、尿などが付着していますので、衛生上の問題が考えられます。医師にご相談ください。
Q. 紙おむつを破いてしまい高分子吸水材が直接肌についてしまいました。肌への影響はないでしょうか。
高分子吸水材が肌に触れても、皮膚に悪影響を及ぼさないことは、皮膚刺激性試験及び接触感作性試験で確認されています。さらに、粘膜刺激性試験でも、眼粘膜、膣粘膜に対する安全性が確認されています。
高分子吸水材は普通の使用状態では外へ出ることはなく、直接肌に触れることはありません。しかし、乳幼児や高齢者が誤って破いた場合などには、中の高分子吸水材が肌に付く場合も考えられます。
使用前の紙おむつの場合
使用前の水分を吸っていない高分子吸水材は粉末で、吸水体のパルプに混入されています。この粉末は肌や粘膜等にふれても安全であることが皮膚刺激性試験等で確認されており問題ありません。水またはぬるま湯で洗い流してください。
使用済みの紙おむつの場合
使用済み紙おむつの高分子吸水材は水分を吸ってゼリー状の小さな粒になっています。この場合も水またはぬるま湯で洗い流してください。
Q. 紙おむつを破いてしまって高分子吸水材が目に入ってしまいました。心配はないでしょうか。
また、この場合どのような処置をしたらよいのでしょうか。
高分子吸水材が眼粘膜に付着した場合の安全性は確認されていますが、こすったりすると眼粘膜を傷つける恐れがあります。
使用前の紙おむつの場合
粒子状態の高分子吸水材が目にはいった場合には、砂粒が目に入った時のように違和感があり、軽い刺激を感じます。こすったりすると眼粘膜を傷つける恐れもあります。こすらずに水で洗眼した後、眼科医にご相談ください。
使用済みの紙おむつの場合
使用済み紙おむつの高分子吸水材は水分を吸収してゼリー状に膨らんでいて、ひと目で付着していることが分かります。
使用済み紙おむつの高分子吸水材の表面には尿が付着していることが考えられます。衛生的な面から考えても洗眼が必要です。洗眼後に眼科医にご相談ください。
Q. 誤って紙おむつを洗濯したら、ゼリー状の物がたくさん衣服に着いています。
害はありませんか。また、効果的な落とし方はありますか。
紙おむつは、外側に尿もれ防止のための防水材、内側には肌に接する不織布、その中間の尿を吸収・保持させるパルプと高分子吸水材などがあり、これらを接着剤で接着してできています。紙おむつを誤って洗濯すると、接着剤がはがれたり不織布が破れるなどして、中側のパルプや高分子吸水材が漏れ出て洗濯槽や衣類に付着します。
高分子吸水材の身体への影響
衣類についたパルプや高分子吸収材が直接肌に触れても影響はありません。
パルプや高分子吸水材が衣類に付いたときの取り除き方
紙おむつを誤って衣類と一緒に洗濯した時
1.
衣類を軽く脱水し・乾燥する前にブラシ等で落してください。粘着テープでも取り除くことができます。
2.
乾燥させた後、まだ残っている場合は再度ブラシ等で落すか、衣類をよく振って落してください。洗濯槽内部に残ったものはティッシュペーパーなどできれいにふき収ってください。
Q. パッド類の止着材が下着等に固着して取れません。どのように処置したらよいでしょうか。
下着に貼って使用するパッド類は、それを下着に固着させるための接着剤が防水材の外側に塗られています。接着剤は使用中にズレない、剥がれないように、また使用後は速やかに剥がれるように設計された素材が使用されていますが、下着の素材によっては使用後に接着剤が下着に残ってしまうことがあります。
その場合の処置には次の方法があります。
1.
下着はデリケートなため、まず、冷たい水や氷でこすって接着剤を固めて剥がし、その後洗剤をつけて揉み洗いしてください。ぬるま湯では接着剤の粘着性が出てしまうので避けてください。
2.
下着の繊維に染み込んでしまった場合は、ベンジン等の溶剤でたたくようにして除去してください。その際、ベンジン等が下着を変質しないことをあらかじめ別の部分で確認してから処置してください。
Q. 紙おむつを製造する時に漂白剤は使用されていますか。また、肌への影響はないでしょうか。
紙おむつの製造段階では漂白剤は一切使用していません。
ただし、吸収材の一部として使用されるパルプの製造段階では漂白剤を使用していますが、何度も水洗いされているため漂白剤は検出されません。
また、吸収材パルプは皮膚に直接触れない構造となっています。
したがって、漂白剤による皮膚の安全性は問題ありません。
過去より紙おむつの漂白剤に起因する皮膚障害は認められていません。